1歳になる生後はじめての誕生日を初誕生といいます。古くから、初誕生には餅をついて子どもの成長を祝う習慣があったため、「餅誕生」ともいわれています。
昔、日本では年齢を、お正月を迎える度に年をとる数え年で数えていたため、生まれた日を誕生日として祝う習慣はありませんでした。誕生祝いが一般化したのは昭和二十年代以降のことです。
しかし、乳幼児の死亡率が高かった時代に、節目ごとに無事を祈願する気持が強かったことから、はじめての誕生日だけは昔から特別に祝っていました。今でもこの名残りから、初誕生は他の誕生日とは違う特別な誕生日という意味あいが強くなています。
初誕生には「誕生餅」「立ち餅」「力餅」などと呼ばれる、一升餅をついてお祝いする風習があります。地方により餅の使い方はさまざまで、餅を風呂敷に包んで子どもに背負わせたり、足で踏ませたりします。
1歳の誕生日を迎える前に歩く子は、将来、家を離れていってしまうという迷信があり、わざと重い餅を背負わせて転ばせたりします。子どもが転ぶと遠く離れていかないと喜び、立っていられたら力が強い子だと喜びます。
この先の困難を乗り越えて成長するようにとの願いを込めて餅を踏ませます。わらじをはかせた足で踏ませる地方もあります。
一升(いっしょう)と、一生(いっしょう)を掛け、「一生食べ物に困らないように」「これからの一生が健やかになるように」との願いを込めて餅をついて祝いますが、なかなか餅つきができない家庭もあるでしょう。そんなときは、和菓子店などで「1歳の誕生日用の祝い餅」といって、つくってもらうことも可能です。注文してからできるまで時間がかかる場合もあるので、あらかじめ予約しておきましょう。