妊娠5か月目の戌の日に、安産を祈って「岩田帯」といわれる腹帯を巻く「着帯の儀式」をおこなう行事です。また、妊娠をあらためて喜び、赤ちゃんの成長や出産の無事を家族で祈って、神社に安産祈願のお参りをしたり、身内で祝い膳を囲んだりします。7か月目、9か月目などにおこなう地域もあります。
犬は多産でお産が軽いことから、それにあやかるようにと、戌の日に帯祝をおこないます。ただ、現在では、妊婦の体調をいちばんに考えることが大切とされ、あまり戌の日にはこだわらず、家族の予定などともあわせ、祝う日を決めればいいでしょう。酉の日や子の日におこなう地方もあります。
戌の日は、月に2~3回まわってきます。カレンダーに書いてあるものもありますが、いつかわからなければ、インターネットで調べることもできますし、安産祈願の神社や産婦人科の病院で教えてもらえます。
腹帯は、子宝に恵まれた夫婦や仲人に「帯親」を頼み、帯親の夫人に巻いてもらうのが正式です。また、妊婦の母親や夫が巻く習慣のところもあります。
お祝いの儀式では紅白二筋の絹の帯を重ねて巻き、翌日からさらしの帯を巻くのが正式なしきたりですが、儀式のときにも「寿」や「犬」と朱書きされたさらしを巻いたり、帯に護符を挟んだりと地方によってさまざまです。
帯はただ儀式として巻くだけでなく、大きくなってきたお腹の保温や保護もしています。さらしの岩田帯は肌の弱い人にも安心で、巻き方を調整すれば、大きさの変わるお腹にあわせることもできます。ただ、巻くのが大変だったり、しているうちにゆるんできたりすることから、最近では脱ぎ着に便利な腹巻き型や、ガードルタイプのものを使用する人がほとんどです。
昔は祝い膳を用意して、産婆や仲人、夫婦それぞれの両親や兄弟姉妹、親族などを招き、出産の無事を祈りました。今はそれほど大げさにせず、夫婦とその両親、兄弟くらいまでのごく身内で、報告を兼ねて簡単に祝うのが一般的です。
祝いの席をもうけなくても、安定期に入ったこの時期が、仲人や親族に妊娠を知らせるのにはいい時期です。
「帯祝い餅」「帯かけ餅」「はらいた餅」などと呼ばれる紅白のお餅を食べたり、親族などに配ったりする地方や、お赤飯を配る地方などもあります。
帯祝い餅には小豆が一粒入っており、お餅を分ける時に包丁を入れて、この小豆が切れると「女の子」、小豆が切れないと「男の子」が生まれるといわれています。